出産、子育てでいったん退職をしたあと、転職・再就職をするのは大変勇気がいることですね。とくに、もともと勤務していた病院ではなく、他の病院を選び、いざ再就職をする日が近づいてくると、ますます不安でいっぱい、という気分になられるのではないでしょうか。そのような方に、ほんの少しのご助言をしたいと思います。
病棟にある文化に溶け込む-その1 人間関係-
転職・再就職をして、配属された新しい病棟の文化になれるまで、とても苦しいです。その代表が人間関係です。
師長さんは、やはり師長になられるくらいですから、それなりにいろいろなことに気を配られ、配慮をしてくださることでしょう。
主任さん、もしくは、係長さんの立場の方となると、もしかすると、自分よりも若い人かもしれません。よくあるのは、若い人でバリバリと仕事をこなしてきている人だと、子育てでいったん退職して、転職・再就職をしてきた人に対して、少し風当たりがキツイ、ということも考えられます。そのあたりは、まずはこちらが「おとな」の対応をすることが大切です。その病棟では、先輩のベテラン看護師、として認め、謙虚に教えていただく、という姿勢で接し、不安なことはこちらから相談をするなど、尊敬し、頼っています、アピールをすることも一つの対策かも、です。リーダー看護師についても同様のことが言えます。
自分と同じメンバー看護師とは、少しずつ関係性を築いていけばよいです。「おとな」の目でじっと観察していると、その人となりが見えてきます。どの方とは親しくした方がよい、とか、どの方とは必要以上には関わらず、距離を置いておく方が安全、とか、といったことがわかるようになってきます。仮に病棟のなかで、派閥的なものや、人間関係の複雑さがあるような場合でも、安易にそういった問題に首をつっこむことはやめ、静観しておきましょう。あとでまずいことになった、なんていうこともありえますから。幸い「子育て」という口実があります。そういったことを口実に、業務終了後はだらだらせず、さっさと帰宅するとよいでしょう。
病棟にある文化に溶け込む-その2 病棟のやり方-
転職・再就職をした病院や病棟には、独自のやり方があります。大きなところでいえば、電子カルテの画面一つみたときにも、まったく違うシステムをとっており、その操作をするときに、うまくいかず、何度も同じことを質問し、質問した側が落ち込む、ということなど、ごく普通にあります。採血は研修医の役割、なんていう大学病院に勤務していた場合には、採血一つするときにも、とまどってしまう、ということもあるでしょう。そのようなことだけに限らず、看護オリジナルのこと、たとえば、清拭一つとってみたときにも、使い捨ての紙タオル2枚で拭きます、なんて言われて、これで、本当にうまく清拭できるの?と疑問に思うこともあるでしょう。このようにさまざまなことに対して、これまでと違う、と感じ、大変な違和感を覚えてしまうこともあるでしょう。
ただ、ここであまり口にしてはいけないのは「前の病院ではこうでした」ということです。この言葉を連発すると、あまりよい受け止め方はしていただけません。その病棟の文化に溶け込むためには、倫理的に問題のあることでない限りは、まずは、その病棟のやり方でやってみる、ということも必要です。そして、そのやり方できちんと行うことができるようになって、かつ、人間関係もできてきたところで、ようやく、こういった方法はどうでしょうか、と一つずつ提案していきましょう。もしかすると、元の病院で行っていた方法よりも再就職先の方法の方がよい、ということもあるかもしれません。よく考えて、必要なことを提案するとよいでしょう。
自分のこころとからだをいたわる。
転職・再就職をして最初の1週間は自分のこころとからだの疲れがピークに達します。毎日心身ともにくたくたになります。
病棟で、気遣いをしてもらって、時間があったら、座ったら、なんていってもらえるならラッキーと思ってください。そんな余裕もなく、ひたすら、立ったまま説明を受ける、処置をする、電子カルテを入力する、なんていうことがごく普通にあります。説明する側、指導する側も、特に若い人ですと、自分に余裕がありませんので、決していじわるをしているわけではなく、配慮をすることをコロっと忘れてしまうわけです。これまで、家で子育てをしていたから体力には自信はあるわ、と思われていても、慣れない環境で1日立って、歩いて、看護をして、としていると、足はまさに棒のよう。しかも、こころも疲れていますから、通常以上に疲労を感じます。
そういった疲れたこころとからだを抱えて家に帰ったら、子どもと家事が待っています。転職・再就職を決める段階で、こういったところはあらかじめ十分話し合いをされていたかと思いますが、それでも実際に行ってみると、こんなはずじゃなかった、ということはごく普通にあります。そういうときには、頑張りすぎないことです。うまくいかなくてある意味当然です。少しずつ、自分たちなりの育児と家事と仕事の両立、バランスを築いていきます。お惣菜を買ってきたり、外食をしたり、掃除をさぼったり、と、負担を軽くできることなら、罪悪感なんて持つ必要はありません。子どもがかわいそう、そんなことも思われるかもしれません。ですが、子育てについては十分話し合ったうえで再就職を決めたはず。それでもお子さんのことは気がかりでしょうから、何を優先して行うか、と考え、家事は器械にまかせる、やらなくても目をつぶってしまえば、我慢できることは我慢する、他に代用できるものがあるときには代用するなどして、一番は自分しかできない子どもに関わることを行うようにしましょう。そして、それらが終わったら、とにかく自分のこころとからだをいたわってあげること、これが大切です。
まとめ
いかがでしたか?転職・再就職に向けて不安いっぱいという方、少しは不安を解消できたでしょうか?
実際に転職・再就職をしてみると、今お話した以上の多くの「大変な」出来事が待っているかもしれません。ですが、ここはとにかく頑張らない、と決めて、できることをできるだけする、そう開き直って、転職・再就職をした自分をほめて、認めてあげて、1日1日を乗り越えていき、その積み重ねをしていってくださいね。
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